要点
字幕は、言葉の切れ目で改行します。切る場所は、文の終わり、読点の後、助詞(「は」「を」など)の後の順に選ぶのが目安です。字数をそろえるために語の途中で切ると、「伝えたいこ/とを」のように読み手が語を組み立て直すことになります。
下の2つは、同じ音声から作った同じ字幕で、改行の場所だけが違います。どちらも2026年9月23日にラクナレで作ったもので、途中で改行の決まりを直したので、直す前と後の実物が残りました。
語の途中で改行すると、どう読みにくい?
直す前は、1行の字数がそろうように切っていました。
2
00:00:05,871 --> 00:00:09,882
一つの文には、伝えたいこ
とを一つだけ入れます。
3
00:00:10,062 --> 00:00:16,450
聞き手は読み返すことができないので、いちば
ん大事な言葉は文の終わりのほうに置き、言い
「いちば」「ん大事な」のように、1つの語が2行に割れています。3枚目は、「言い」で字幕が終わり、「切ってから」は次の字幕へ送られていました。
直した後は、同じ音声・同じ時刻のまま、言葉の切れ目で分けています。
2
00:00:05,871 --> 00:00:09,882
一つの文には、
伝えたいことを一つだけ入れます。
3
00:00:10,062 --> 00:00:12,885
聞き手は読み返すことができないので、
4
00:00:12,885 --> 00:00:19,273
いちばん大事な言葉は文の終わりのほうに置き、
言い切ってから次の話へ移ります。
行の長さはそろわなくなりましたが、どの行も意味のまとまりで終わっています。長い文は、読点の後で2枚に分かれました。
改行の場所に、決まった基準はある?
日本には、字幕をどこで改行するかを決めた、国や業界の決まりはありません。総務省の指針が決めているのは、どのくらいの番組に字幕を付けるかの目あてです。民放連が決めた字幕つきのCMの決まりも、技術についてのものです(総務省の指針、民放連の基準)。字幕を作るメディア・アクセス・サポートセンターも、決まった基準は無いとしたうえで、行の長さをそろえるより、意味が分かることを先にして改行すると書いています(制作について)。
目安にできるのは研究です。放送の字幕を自動で改行する研究(門馬ほか、2001年。論文)は、切ってよい場所を次の順にしています。
- 「。」の後
- 「、」の後
- かっこの前と後
- 2字以上のまとまり(文節)の前
- 漢字やカタカナで始まる語の前
同じ順番の候補が2つあれば、行の長さが平均に近い方を選びます。それでも収まらなければ行を、行でも足りなければ字幕の枚数を増やします。
1行と2行、どちらがいい?
Netflix の字幕のガイドは、1行に収まるなら1行にし、2行に分けるなら句読点の後で分ける、としています(Timed Text Style Guide: General Requirements)。日本語のガイドでは、横書きの字幕は1行13字、2行までです(Japanese Timed Text Style Guide)。どちらも、Netflix で配信する映画やドラマの字幕のための決まりです。
専門家が改行した字幕を調べた Ohno ほか(2009年)では、6字以下の短い行は7.6%にとどまりました(論文)。前の文節がすぐ後ろの語にかかる所で改行したのは13%で、かからない所は53%です。専門家は、次の語とのつながりが緩い所を選んで改行していた、という結果です。
ラクナレの字幕は、どこで分けている?
ラクナレの字幕は、1枚42字、1行22字までです。行と字幕を、文の終わり、読点の後、助詞の後、そのほかの言葉の切れ目の順に選んで分けます。22字に収まる切れ目が無いときは、2行にせず2枚に分けます。
細かい決まりと実物は、SRTファイルとは?の最後の節に載せています。
2,802字で作ったときに行の区切りがどこへ来たかは、AIナレーションの作り方に書きました。